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KURPのはじまり

更新日:2019年10月21日

2016年 初夏

小学校からの友人である五嶋達也くんの事をふと思いだし、地震の後 彼はどうしていたか考えたのが、KUMAMOTO UTSUWA REBORN PROJECT を始めるきっかけでした。


私は陶芸家の彼とその年に写真のプロジェクトを始めたばかりで、1月に第1弾の撮影を終え、4月に第2弾の撮影を計画しているところでした。

横浜から熊本へ帰る飛行機のチケットを取り準備万端でしたが、出発10日前の4月14日、熊本地震が発生しました。

幸い僕たちの地元である熊本県山鹿市には大きな被害は無かったのですが、揺れは大きく、五嶋くんのギャラリーに飾られていた作品達は地面に落ち、割れてしまいました。翌朝には袋にまとめられ倉庫の隅に置かれていたそうです。

10日後僕は熊本へ帰り、避難所の子供達にぬり絵などを配るボランティアをしました。五嶋君にも会って写真のプロジェクトは一旦延期にして、落ち着いたら再開しようと約束して1週間後自宅のある横浜へ戻りました。


そしてその年の夏、彼のことを思い出し、あの時に割れてしまった陶片は今どうなったのか。

彼以外にも熊本地震で作品が割れてしまった陶芸家がいるんじゃないかと考えました。

更にその陶片を呼び継ぎして再生させる事で、一皮むけた新しい価値観を産み出せるんじゃないか思い立ちました。

そう閃いて直ぐ、僕は五嶋君に電話をして呼び継ぎのアイデアをどう思うか尋ねると、面白そうだと言ってもらい、すぐに彼の友人の陶芸家に連絡をしてもらいました。そしてアイデアに賛同してもらえるならば地震の時に割れてしまった陶片を保存しておいてもらうようお願いしてもらいました。

9月に再度帰熊し、五嶋君を含めた5人の陶芸家の方達ひとりひとりの窯を訪ね、夏の間に考えをまとめた企画を説明し、納得して頂いてから被災した陶片を頂きました。

この時5人の陶芸家の中のひとり津金日人夢さんから、「金継ぎは漆の技だから漆職人を探すといいよ」というアドバイスを頂き、そこから漆職人探しが始まりました。

しかし僕が直接漆の技を持っている方を知るよしもなく、そういう繋がりがありそうな友人に尋ねていくと、繋がりが繋がって、日本の漆の都 輪島市の老舗塗師屋、蔦屋漆器店さんにご縁を頂くことが出来ました。

翌年2017年、年明け早々に蔦屋漆器店の大工さんとお会いして、企画書と割れた陶片の写真を見て頂き、「是非やりましょう」と言っていただいたときには、熊本から預かった陶片がきっと報われると思いました。

さらに大工さんからの提案で、翌月の2月にふるさと納税を推進するトラストバンクの須永社長に引き合わせていただき、最初に制作する呼び継ぎ作品の仮型をお見せしました。これを見て、須永社長にはこのプロジェクトが両地域にとって素晴らしい物になると感じていただいたようで、そこからの KUMAMOTO UTSUWA REBORN PROJECTは羽ばたき始めました。

トラストバンクのスタッフの方々のご尽力と輪島市のふるさと納税担当、新谷さんの熱意とで、KUMAMOTO UTSUWA REBORN PROJECTは輪島市をオーナーとしたガバメントクラウドファンドが行われることになりました。

そして最初の作品が輪島市の職人、稲見夫婦の手により完成しました。

金継ぎの閃きを得て丁度一年後、2017年 初夏でした。


KURP代表 太田黒



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